オフィス移転物語
木の天井と植栽のある明るいラウンジ
10年以上ぶりのオフィス移転に不安を感じている会社のみなさまへ

大切にしたいのは、働くみなさんが、どんな感情を感じていたいかです。

16年ぶりの引っ越しで、最初は不安に寄り添うことから始めました。

「本社に行くのが楽しみになりました」
移転後の社員アンケートより(原文)。このページは、そう言ってもらえるまでの記録です。本来は1年ほどかかる移転の準備。今回は、6か月で進められました。社内・社外・ビルのみなさんが同じ方向を向いて動けたからです。どの移転でも6か月でできる、というわけではありません。

このページで分かること

10年以上ぶりのオフィス移転に不安を感じている会社のみなさまへ。前回を知る人が少なく、何から始めればいいか迷っているときによく聞かれる4つのことが、この移転の実例で分かります。

  • 何から始めるか——間取りの前に、「どんな感情を感じたいか」を社員に聴くところから。
  • 社内の誰がどう決めるか——プロジェクトチームで案をまとめ、役員、社長の順に決めていく。この事例では、社歴の浅い4人が案を引っぱりました。
  • コストが増えたときの手——削れる項目・削れない項目・納期が決まっている項目を色分けして、経営が費用のゴールを決める。こういう時に経験豊富なプロジェクトマネジャーがいると安心です。
  • 移転後の不満への手——アンケートで声を集め、フォロー会議で次の手を決める。移転後も隔週で定例を続ける。
01

移転の前——「不安の多いスタート」だった

16年ぶりの本社移転でした。前回の移転を経験した社員は数名。会社自身も「不安の多いスタート」だったと振り返っています。

旧オフィスの課題は5つ。フロアが2つの階に分かれて話しにくい/静かすぎる/暗い/話しかけづらい/採用候補者への印象。

移転する会社に共通する不安も並べておきます。「どんなオフィスがよいのかわからない」「自分たちのことをわかってもらえるか不安」「後悔しないか」。

02

会社の願い——「管理から信頼へ」

先の見えない時代に必要なのは、自分から課題を見つけて答えを出せる力。その力を引き出す答えの一つが、社員への信頼だと会社は考えました。

だから移転の中心を、声の大きくなりがちなベテランではなく、社歴の浅い女性社員4名に任せることにしました。それ自体が、これからの会社へのメッセージでした。

植栽と木の天井の廊下
03

感情を聴く——理想のオフィスで、どんな感情を感じたいか

緑の中のエリアサイン

最初にやったのは、間取りの話ではなく感情の質問でした。「理想のオフィスで感じたい感情」をみなさんに聴き、273件の回答が集まりました。

安心
181
ゆったり
162
楽しい
108
生き生き
108
「理想のオフィスで感じたい感情」上位4つ(件数・複数回答)

提案の段階で仮に置いていた感情は「安心・わくわく・誇らしい」でした。社員の答えに合わせて、コンセプトを「安心・ゆったり・楽しい・生き生きが感じられるオフィス」に変えました。

そこから感情 → 得られる価値 → 必要な性能 → 具体的な状態へと、層を下りて掘っていきました。

一般的な始め方と、アルティスの進め方を並べてみます。

よくある始め方
アルティスの進め方
必要な機能をヒアリング
どんな感情を感じたいかをヒアリング
欲しい機能が先行して優先順位が決められない
感情から逆算して必要な機能を導いていく
移転自体が目的になる
移転後の1年間でどうなっていたいかをゴールに設定

必要な機能についての議論ももちろん大事です。アルティスの進め方では最初に感じたい感情を聴くところから始めました。

04

コンセプトを形にする

コンセプトは、エリアごとの手描きスケッチや素材ボードをもちいてだんだん具体的になっていきました。中央にシンボルツリーのある広場、扇形に見渡せる大きなキッチンカウンター、会話禁止の集中エリア、ふらっと立ち寄れるソファ席。

提案時から使っていた進め方は「想像してもらう → 感情を言語化する → 空間の影響で確かめる」です。空間は心・体・人間関係に、気づかないうちに影響が積もっていく、という考えに基づいています。

シンボルツリーを囲むソファ席 植栽の奥のカフェ席 黄色いソファのくつろぎ席
05

つくる——毎週の定例で、不安も机に出す

ガラス張りの会議室が並ぶ廊下

2022年10月のキックオフから、週1回の定例で決めていきました。連絡は共通のチャットとドライブに寄せました。

  • 11月 オープン日を、期末の最終日と引っ越しを重ねない日に決めた。
  • 11〜12月 他社を見学したり、参考にしたりしながら、「働き方分科会」を作った。社員から出た心配にも、その場で答えた。
  • 12月 内装や個室の追加でコストが増えた山場。削れる項目・削れない項目・納期が決まっている項目を色分けして、経営が費用のゴールを決めた。
  • 毎週 定例でコストを確かめ、必要に応じて分科会で詰めた。
  • 1月 安全祈願、工事の定例の開始。
  • 2〜3月 開所式の日取り、エリア名(レイアウトチームが考えた)、最後の詰め。

コンセプトにした「安心・ゆったり・楽しい・生き生き」は、完成したオフィスだけのものではありません。毎週のプロジェクトミーティングの場でも、この4つを実践しました。

PMの大切な役割は、方向を示してみんなを導くことです。そのために実際にしたのは、毎回の定例の進行、道具(チャット・スケジュール・タスク一覧)の整備、コストの提示と色分け、外部との調整です。

06

できあがったもの

1フロア、全席フリーアドレス。緑と自然素材、カーブした壁、行き止まりを減らした回遊動線、向かい合うソファ、居場所を選べる席。会話禁止の集中エリアから、会話が生まれるコピー機まわりまで、16のゾーンで構成しました。

植栽のある島と大きなテーブルが並ぶ、見通しのよい執務エリア 木の縦格子の廊下 大きなキッチンカウンターのある執務エリア ソファのある待合 木の壁の会議室 大会議室 窓際の個室 木の椅子と植栽のあるテーブル席 窓に向かうカウンター席 ソファとテーブルのある小さな個室 窓際のカフェエリア 集中エリアの席 青い壁の集中ブース
07

引っ越したあと——変わったこと

ガラス越しに見える執務エリア

移転前に挙がっていた5つの課題と、移転後の変化を並べます。

移転前の課題
移転後の変化
フロアが2つの階に分かれて、話しにくい
1フロアになり、顔が見える
静かすぎる
BGMが流れるようになった
暗い
照明と植栽で明るくなった
話しかけづらい
フリーアドレスと合わせて、自然に会話が生まれる
採用候補者への印象
候補者への印象がよくなった

移転後の社員アンケートの声(原文):

「帰社する時の入り口のドアを開ける時に感じる緊張感がなくなった」
「これまで接点がなかった方々との会話が増えて楽しい」
「その日の業務スケジュールに合わせて場所を選べる点は、コンセプトどおりに使えて凄く良い」
「本社に行くのが楽しみになりました」

満足度(5段階・回答263)

5段階で3以上が96%(263人の回答)。

21%
44%
31%
「5」21%「4」44%「3」31%
5段階評価・回答263。残りの4%は表示していません。
明るいフリーアドレスの執務エリア カウンターとスツール ペンダント照明
08

正直に書きます——不満の声も出ました

同じアンケートには、こういう声もありました。誰がどこにいるかわからない/会議室の予約が取りにくい/Wi-Fiと電話の品質/ロッカー前の通路が狭い/ルールがはっきりしない。

「全員が同じフロアに居るので、疎外感はなくなりました(まだ若干感じますが)」

フォロー会議では、次の手を決めました。お向かいさんへのあいさつから始める/一斉クリーンDay/使わない予約は消そうと呼びかける/延長ケーブルを用意する。

移転後は隔週で定例を続け、社内広報の支援も提案しました。

緑越しの執務エリア
09

まとめ

オフィスを変えるだけでは足りませんでした。どんな感情を感じたいかを聴き、若手に任せ、不満が出たら手を打つ。それを、移転の前からあとまで続けました。

横で見ていたPMの目から見ても、移転のあと、案を引っぱった4人の成長はめざましいものでした。

なぜ、アルティスに任せたのか

アルティスが大切にしているのは、みなさんと同じ目線で進めることです。だれも置いていかないマネジメント。声の大きい人だけで決まらないように、一人ひとりの声を机の上に出していきます。

依頼主の会社は、PMを選んだ理由として「人柄」を挙げてくださいました。

「メンバーに寄り添うファシリテーションが得意」
「優しい性格の社員が多い社風ともマッチしてよい化学反応が得られたと感じている」(依頼主の会社の言葉より)
  • 予算・品質・納期を同時に守る——予算は最初に決まっています。その中で、みなさんの要望をできるだけかなえるのがPMの仕事です。毎週のプロジェクト定例でコストを確かめ、必要なときは分科会で詰めました。削れるもの・削れないもの・納期が決まっているものを分けて示し、社内の判断を支えました。(予算・品質・納期=CQD)
  • 内訳を見せて、一緒に決める——費用の内訳を隠さずに見せ、何にいくらかかるのかを確かめながら、会社のみなさんと一緒に決めていきます。
  • だれも置いていかない——オフィスのコンセプトにした「安心・ゆったり・楽しい・生き生き」を、毎週のプロジェクトミーティングでも実践しました。社員から出た心配には、定例の場で答えました。移転のあとも定例を続け、出てきた不満に手を打ちました。
10

久しぶりの移転で、よく聞かれること

この記録は、前回の移転を知る人が少なく、何から始めればいいか迷っている会社のために書きました。

何から始めればいいですか。
この会社では、間取りの前に「理想のオフィスで感じたい感情」をみなさんに聴くところから始めました。
社内の誰が決めるのですか。
プロジェクトチームで案をまとめ、役員、社長の順に決めていくのが、一般的な会社の進め方です。役員のうち1人がプロジェクトチームに入ることも多くあります。この事例では、チームの中で案を引っぱったのは社歴の浅い4人でした。PMは週1回の定例の進行と、道具・コスト・外部との調整を受け持ちました。
コストが増えたらどうなりますか。
削れる項目・削れない項目・納期が決まっている項目を色分けして示し、経営が費用のゴールを決めました。
引っ越したあとに不満が出たら。
アンケートで声を集め、フォロー会議で次の手を決めました。移転後も隔週で定例を続けました。
植栽とテーブルが並ぶ、明るい執務エリア

あなたの会社の社員が、どんな感情を感じたいのか。
そこから一緒に聴かせてください。30分のお話から始めます。

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売り込みの場ではありません。まず、いまの不安をお聴きします。